洗っても洗っても落ちない、肌着やシャツの汗臭さは、どうやら熱湯でどうにかなるらしい・・・?
そう思っていませんか?
はい。正解です。どうにかなります。
余計な洗濯洗剤やら、消臭ビーズやらを買わなくても大丈夫です。
熱湯だけで、完全にニオイを取り去ることができるんです。
ただ、「熱湯を使ってって、正直、めんどくさそう」「奥さんの負担は、できるだけ軽くして
やりたい」こうも思っていませんか?
もしそういったお悩みであれば、あなたのお役に立つことが、できるかもしれません。
この記事では、そもそも、なぜ洗濯しても嫌なニオイが残るのか?
そして、その具体的な対策は、何が一番いいのか?
奥さんにお願いしても問題ない、できるだけるだけ手間の少ない方法を紹介していきます。

目次
ニオイの原因は菌だった

そもそも、ニオイの原因が何かご存じですか?
テレビでも、洗濯洗剤のCMがバンバン流れていたりするので、聞いたことがある方も
多いかもしれません。
汗臭さの原因は、服に残っている汗を皮脂を餌にする、雑菌が繁殖するためなんです。
本来、汗自体は無臭です。雑菌それ自体が、臭いを発しているわけでもありません。
汗を餌に雑菌が繁殖し、多くなった雑菌が、臭いの元となる物質を生成するすることで、
あのイヤ~な、汗臭さや生乾きのニオイがしてしまうんです!

汗臭い原因菌
汗をかいた後に衣類から発生する汗様のニオイ(着用汗臭)に関して、そのニオイ成
分の原因物質と原因菌を解析した結果、
1)原因物質:汗様臭の不快度の高いニオイ成分として、短鎖および中鎖の複数の脂肪
酸に由来することを確認しました(図1)。
2)原因菌:ニオイ発生の主な原因菌はマイクロコッカス属細菌であり、本菌は高い脂
肪酸様臭生成能を有することも確認しました(図2)。
出典:花王株式会社 ニュースリリース『汗をかいた後に衣類から発生するニオイ成分とその原因菌を解明 ~衣類上のマイクロコッカス菌が汗様臭を発生~』
実は、汗臭いニオイの原因菌というのは、日用品大手メーカーの花王が解明していたりします。
ついでにいうと花王では、洗濯物の生乾きのニオイ(雑巾のようなニオイ)の原因菌が、
モラクセラ属細菌であることも突き止めているんですね。
(Moraxella Species Are Primarily Responsible for Generating Malodor in Laundry)
マイクロコッカス属細菌もモラクセラ属細菌も、常在菌といわれ、人の皮膚や体内にも
存在する菌なんです。
どこにでもいる当たり前の菌で、極端に抵抗力の弱っている人などを除いて、人体に悪影響が
あるような菌ではないのですが、ある一定の条件下で大量発生をして、嫌な臭いを発生させます。
そう。それが、汗をかいたり、雨に濡れたりして皮脂や水分の量が増えると、その水分とともに
揮散しやすくなるんです。
つまり、雑菌がいる服を着て汗かくと、メチャクチャ服からも臭ってきますってお話です。
そして厄介なことに、これらの菌が、乾燥や紫外線にめっぽう強く、通常の洗濯・乾燥では菌が
完全に死滅させることができないんです。

雑菌はお湯で消毒が可能

それではどうすればいいのか?
その答えの一つとして、お湯を使って消毒する方法があります。
これらの雑菌は、熱に弱いことも分かっているんですね。
煮沸消毒でほとんどの菌は死滅します
何も買い足さないで、家庭でもすぐに実行できる方法といえば、煮沸消毒があります。
大きめの、底が深い鍋に水をいれて沸騰させ、その中に、タオルやTシャツをいれればOKです。
じゃぁ、どれくらいの時間をぐつぐつ煮込むのか?
ここは厚生労働省が示している『感染症法に基づく消毒・滅菌の手引きについて』にあるように、
リネン類には熱水洗濯機(80℃・10 分間などの熱水)を用いる。
80℃・10分間が目安となっていますので、こちらを参考にすれば問題ないでしょう。
とはいえ、衣類の洗濯表示タグをみると、かなり多くの衣類で、液温は40℃が限度といった場合
が多いと思います。
なので、基本的に煮沸消毒できるもは、シワシワになっても構わないガーゼやタオル類になるか
と思います。
間違ってもポリエステルなどの化学繊維素材の衣類をぐつぐつ煮込まないでくださいね。
熱に弱いのですぐにシワシワになって、元には戻りません。
「厚生労働省の手引きにも熱水洗濯が有効とかいているんだから、熱水洗濯すればいいのでは?」
と思った方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?
そうなんです。殺菌目的なら、熱湯洗濯が一番簡単で有効です。
ヨーロッパやお隣の韓国では、家庭用の洗濯機でも90℃の熱水洗い機能がついているものもあるとか。
ただ、悲しいことに日本の洗濯機はほとんどの場合、熱水洗濯に対応していません。
日本メーカー製の洗濯機では50℃くらいが限度のようです。
給湯器からの温水の使用は行わないでください。故障の原因になります。また、お湯取運転などで50℃以上のお湯も入れないでください。
出典:日立 お客様サポート『洗濯機に入れても良いお湯の温度を教えてください。』
一部メーカーで60℃洗いまで対応したものがあったり、80℃のお湯で洗える、
熱水洗い専用の小型洗濯機が出ていたりする程度のようです
お湯のつけ置きに殺菌効果は期待できる?
では、沸騰しないまでも、湯温を下げても殺菌ができるとなると、どのくらの温度が
いいのでしょうか?
イメージとしては50℃~80℃くらいの温度帯です。
お湯の温度は下がってしまいますが、方法としては、お風呂の浴槽にお湯をためて、
そこに洗濯物を浸すという方法が簡単に実行できる方法です。
私も実際にこの方法でつけ置きしていますが、完全な殺菌はできていないまでも、
ニオイ消しの効果は十分にあると感じています。
私の自宅の給湯器が、最大75℃まで上げられるので、75℃のお湯を足のくるぶし位の高さまで
浴槽にため、10分~15分熱水に浸し、その後、通常通り洗濯・乾燥させただけでも
十分に臭いが取れています。

臭いタオルを洗濯して臭いが取れたと思って髪を拭いたらまた臭くなる菌のついた菌ループタオル、60度くらいの熱湯につけおきしたら臭いがなくなるってこの前聞いてやってみたら本当になくなったので菌に悩まされてる人はやってみてください!
— シュガー (@sugar080808) 2017年11月23日
ただ、実際に洗濯表示タグをみると、40℃が限度ってものが多いです。
Tシャツやバスタオルをお湯で消毒する場合には、お湯が問題のない繊維なのかを確認する
ようにしてください。
ちなみに、私の場合は、40℃が限度のTシャツやバスタオルも、75℃のお湯でつけ置きを
したうえで、通常洗濯していますが、特に問題ないです。
2~3週間に1回程度のつけ置きで、汗臭さや生乾きに悩まされることはありません。

注意点
鍋で煮込むにしても、浴槽にお湯をはって消毒するにしても、結構な湯量を取り扱うことに
なりますので、当然ですがやけどには十分注意してください。
また、洗濯物の素材にも注意です。
衣類のタグに表示されている洗濯表示記号を参考に、熱水・温水につけても大丈夫かどうか
確認してください。
出典:消費者庁 『新しい洗濯表示』
お湯+酸素系漂白剤のつけ置きがベスト

では、衣類にもやさしくかつ、ニオイをきちんと消してくれる方法は?
そう考えると、お湯(40℃~60℃)+酸素系漂白剤のつけ置きが現実的です。
「なんだよ、結局漂白剤かよ!」って思われる方もいるかもしれませんが、実際、
これが一番衣類へのダメージ少なく、除菌・殺菌効果が高いんです。はい。
漂白剤は基本的に、温度が高ければ高いほど、漂白の反応速度が高まるといわれていて、
60℃以上の温度だと逆に促進しすぎて、漂白効果が半減してしまいます。
バケツに50℃程度のお湯と漂白剤を入れ、30分程度つけ置きすれば完了です。
一緒に洗うものが、漂白OKであれば、すすぎはしなくて大丈夫です。
垂れない程度に水を切って、そのまま通常の洗濯と一緒に洗濯してしまってください。
酸素系漂白剤は、洋服の黄ばみや黒ずみの漂白に使うというのがメジャーな使い方ではありますが、
実はその殺菌・除菌効果から、普段の洗濯洗剤と合わせて使うことで、嫌な臭いの発生を
予防してくれるという効果もあります。
梅雨の時期や夏場、洗濯物が多い時なんかも、普段の洗濯洗剤にプラスして、酵素系漂白剤を
入れるだけで、ニオイの発生リスクを劇的に減らすことができますよ!
漂白できるかを、洗濯表記号で確認
![]()
出典:消費者庁 『新しい洗濯表示』
酵素系漂白剤は、綿、麻、化学繊維など、通常使われるに素材に問題なく対応できます。
とはいっても、洋服によってマチマチではあるので、洗濯表示記号をみて、漂白できるか
どうかを確認してくださいね。
雑菌の繁殖しているような衣類となると、直接肌に触れることが多い、タオルや肌着、
ワイシャツなんかが多いとおもいます。
肌着などは漂白剤が問題ないと思いますが、ワイシャツなんかは、漂白できないものも
出てくるかもしれません。
漂白の前に確認を。

つけ置きに使用するのは酸素系です。
そもそも、漂白剤には”塩素系”と”酸素系”の2種類の漂白剤が存在します。ご存じでしたか?
”塩素系”は漂白力が強く、除菌・殺菌にも優れているんですが、そもそも衣類用として
使われるというよりは、トイレ用、台所用、お風呂用などがメインです。
衣類用にも販売されているものもありますが、基本的に白物にしか使用できません。
つけ置きする場合は、酸素系漂白剤を使うようにしてください。
つけ置きに使用するには、粉末タイプがオススメです
酸素系漂白剤の中でも、”粉末”タイプと”液体”タイプの2種類あります。
いやー、いろいろと面倒ですね。ほんと。
粉末タイプはアルカリ性で、主成分は過炭酸ナトリウムとなります。
液体タイプよりも漂白力が強く、洋服の黄ばみなどを取る際によく使われます。
反対に、液体タイプは酸性で、主成分は過酸化水素水となります。傷口の消毒薬ですね。
オキシドール。
過酸化水素水に洗剤成分である界面活性剤が入っているため、漂白・除菌・洗浄とバランスの取れた
オールラウンダータイプなんです。
ただ、粉末タイプより、漂白・除菌効果は低いので、ニオイを取るためのつけ置きであれば、
粉末タイプをおすすめします。
- 2時間以上つけ置きしない。
- 濃い色の衣類は色落ちする可能性があるので、必ず10分程度のテストを実施。
- 毛・絹など動物性繊維には使用しない。
- ボタンやファスナーなど金属があると化学反応を起こし、金属そのものがボロボロになってしまったり、金属と触れている生地に影響を及ぼすので使用しない。
- 生地に金属染料が使用されていると、化学反応を起こし色が抜けたり繊維を傷めるので使用しない。
コインランドリーの利用がもっともラクかも

お湯+酵素系漂白剤のつけ置きは慣れてしまえば、どうってことないんですが、慣れるまで面倒
ではあります。
いや、慣れても面倒は面倒ですね。
そんな場合は、コインランドリーがオススメです。
方法はシンプルで、コインランドリーの大型乾燥機でに洗濯物を突っ込んで、30分程度乾燥
させるだけです。
もちろん量にもよりますが、濡れた洗濯物でも30分~1時間も乾燥機を回せば、高温でほとんどの
菌を殺菌することができます。
最近のコインランドリーでは洗濯・すすぎ・脱水・乾燥まですべてをおこなってくれる大型の機械
もありますので、自宅近くにコインランドリーがあるという方は定期的に利用してみるのも
いいかもしれません。
ただ、乾燥機を使うにしても、洗濯表示のタグは確認必須ですよ。
以前、洗濯表示記号のタグを見ずに、ユニクロのエアリズムをコインランドリーの乾燥機に
いれたことがありますが、シワッシワになりました。もうクシャクシャ。
ただ、ニオイはばっちり取れましたけどね。

デリケート素材にはアイロンが有効

アイロンは本来、シワ伸ばしに使われる方も多いと思いますが、ニオイとりにも十分効果を
発揮してくれます。
特に、スーツなどのデリケート素材の場合はこの方法がベストです。
スチームアイロンがあれば、それを使うことに越したことはないですが、なくても、
もちろん大丈夫です。
①霧吹きでじゅぶんに水を吹きかける
②ハンカチなど(綿100%が望ましい)を当て布替わりにし、その上からアイロンがけする

雑菌を発生を予防しよう

長々と、洋服の汗臭いニオイをなんとかする方法を書いてきましたが、臭わないようにするために
は、普段から予防することが、結果的に面倒を減らせる一番の方法じゃないでしょうか。
いくら対処をしたとしても、雑菌は繁殖するのが当たり前。
その辺に当たり前にある菌なんですから。
ふとした瞬間に自分が臭いニオイに気づくってイヤですよね・・?
臭いの原因が雑菌であるならば、とにかく雑菌を繁殖させないようにすることが大事に
なってきます。
手早い乾燥が雑菌繁殖を防ぐ
洗濯物は、生乾きの状態が長ければ長いほど、臭いの原因である雑菌が繁殖して、
臭くなるリスクが増します。
ということは、シンプルに、生乾き時間が短くすれば、それだけニオイリスクを減らすことが
できるんです。
- 脱水がおわったら、洗濯槽に放置しないで、できるだけ早く干す。
- 風通しのいい場所で乾かす。(難しい場合はサーキュレーター+除湿器で風を循環してください。)
外干しでも部屋干しでも、とにかく風通しを良くして、早く乾かすことを意識してもらえれば、
これだけでも臭いリスクを低減できますよ!

定期的な洗濯槽除菌は必須

洗濯層は掃除してます?
もし、「漂白剤をつかえば一時的にニオイが取れるけど、またすぐに汗臭くなったり、生乾きの臭い
がする」っていう場合は、洗濯槽自体が雑菌の温床になっているケースも考えられますよ。
もはや、グロテスクとしか言いようなないですが、お手入れをしていないと洗濯槽の汚れはどんどん
たまっていきます。
5年に一度といわずに、1~2カ月に1度。長くても3カ月に1度は、
洗濯槽を掃除してくださいね。
ドラム式の洗濯機の場合は、酵素系の洗濯槽クリーナーではなく、塩素系の洗濯槽クリーナーを
推奨している場合があります。
酵素系のクリーナーは発泡して、汚れを浮かして落としてくれるんですが、その多量の泡が、
洗濯機によっては故障や水漏れの原因になる場合がるんです。
取り扱い説明書を確認するようにしてくださいね。
抗菌素材の洋服の活用も

最近は、「消臭」や「抗菌」をうたった、機能性インナーを着ている方も
多いんじゃないでしょうか?
機能性インナーはその多くが、ニオイ成分を吸着して、イオンなどの分子の作用で中和・無臭化する
機能や、アンモニアなどの特定の体臭だけを消臭する機能などが付与されています。
こういった機能性下着は、体臭の発生予防として効果が見込めますので、積極的に取り入れて
いくのがいいと思います。
まとめ

洋服の汗臭いニオイを取るには、雑菌を処理するために、何らかの方法で熱を加えることが
必要です。
ただ、医療現場でも行われるような「煮沸消毒」や「熱湯消毒」は確実に殺菌してくれる反面、
消毒できる洋服も限られてきてしまいます。
そうであれば、少々面倒でも、漂白剤を使うのが手頃で、間違いの少ない方法なので
はないでしょうか?
「洗濯は女の仕事!」といって、自身で洗濯していたのは独身時代までといった方も
多いと思います。
変に手を出すと、反対に怒られてしまうという方もいるのでは?
そのせいで、男性は、洗濯についての知識がほとんどないといった人が散見されます。
案外、自分自身で汗臭い服のニオイケアをしてみることが、予防の第一歩になるかもしれませんね。
