気になってますよね?舌苔(ぜったい)。
そうです。読み方はよく分からないけど、舌の白いヤツです。
舌苔をとにかく除去できれば、口臭がなくなるかもと思ってる方、ちょっとまってください。
乱暴な舌苔の取り方をしていると、口臭がなくなるどころか、逆に口臭がひどくなってしまう可能性すらありますよ!
誤解されがちな「舌ケア」ですが、なぜ舌苔ができるかの原因を知り、正しいケアの仕方を身に付ければ、あなたの口臭はよくなっていくはず!

目次
舌苔と口臭との関係

舌苔があると、なぜ口が臭くなるのか?
口臭治療の第一人者といわれる、本田俊一先生(日本口臭学会常任理事)によれば、
舌苔の大半は、食物残渣、剥離した舌の上皮細胞、口腔内細菌及び、その代謝産物から構成され、取り出すと悪臭がします。
体調が悪い場合、不規則な生活、アルコールや、甘味飲料の多飲、刺激物の摂取により付着します。
さらに、口呼吸や、緊張の持続などにより、唾液が不足すると口腔内の自浄作用が落ちてさらに、分厚くつきます。
もっと悪化すると、舌に縦に深い皺が出現したり、横に小さなしわが出たりして慢性化し、口臭はひどくなります。
出典:医療法人ほんだ歯科『Dr.HONDA!口臭バイブル 口臭と舌苔-1<舌を観察する>』
要は、舌の上に食べ物のの残りカスなどが堆積し、それが舌苔となり、口臭を発生させるといいます。
もっというと、舌苔それ自身が「菌の温床」となるからです。
舌苔に生息している細菌が、食べ物のカスに含まれる、たんぱく質やアミノ酸を分解し、腐敗させ、硫化水素、メチルメルカプタンといった「揮発性硫黄化合物」を作り出します。
- 硫化水素(卵が腐ったようなにおい)
- メチルメルカプタン(生臭い、魚や野菜が腐ったようなにおい)
- ジメルサルファイド(生ゴミのようなにおい)
あなたの口が臭い原因は、この揮発性硫黄化合物である可能性がすこぶる高いわけです。
しかも、舌苔が多ければ多いほど、揮発性硫黄化合物が発生しやすいというから困ったものです。

舌苔ができる原因

では、舌苔ができる原因とは、何なんでしょうか?
同じく、本田先生によれば、
A.病的な場合(病的口臭に結びつくことが多い)白く分厚い、おおむね舌表面粘膜はまったく見えなくなる。表面は粘稠性を帯びていることが多い。
1.慢性的な耳鼻科的問題を抱えている人
2.ひどい口腔内疾患や消化器疾患のある人
3.病的舌苔のある人B.病的ではないが、慢性的素因や習慣要因によるもの。白さの程度の差はあるがAほどひどくはない。
1.粘膜が過敏な人(アレルギー素因)を持つ人。
2.ヘビースモーカーなど、喫煙常習者
3.口呼吸習慣のある人
4.口腔内乾燥のある人
5.口腔衛生状態の悪い人出典:医療法人ほんだ歯科『Dr.HONDA!口臭バイブル 舌の白さ』
Aに該当するような方、つまり、病的な疾患が要因で、舌苔が白く分厚くなることがあるということです。
この場合、常に強い口臭がしますので、他人から指摘されるようになります。迷わず病院にいってください。

もう一方で、慢性的素因や習慣的要因で舌苔がつくことがあります。多くの人が気にするのはコチラだと思います。
ちょっとわかりにくいと思うので補足すると、ストレスの多い生活をしている人、アルコールを常飲する人、歯周病や虫歯のある人なんかもこちらに含まれます。
現代社会において、ストレスの全くない生活を送るということは、現実的ではないので、どんな人にでも、大なり小なり舌苔はあるもんだと認識できればいいのではないでしょうか。
それに、この場合の多くは、「生理的範囲内」として病院にいっても問題ない範囲とされます。
病院にいっても「大丈夫ですよ~」と言われるだけで、「なんか求めてたのと違う!」ってなるやつです。
私も、口臭が気になって歯科医院に相談したことがあるのですが、歯ブラシ指導されて終わりました。口臭の診断は難しいんですね。
舌のケアが必要な人

では、舌のケアが必要な人は、どんな人なんでしょうか?
唾液の質を高めることは、非常に重要です。唾液の質は虫歯や歯周菌以上に口臭に影響を与えるからです。
叉、舌を磨くことのおろかさは、大学の口臭外来で指導を受ける以前から患者さん自身が無効であることを経験的に知っています。
舌を物理的に磨くことで、口臭を完治させた人は皆無に近いです。もし舌を磨くことで、解決できるのであれば、口臭の悩みは過去の遺物になったはずです。
出典:医療法人ほんだ歯科『Dr.HONDA!口臭バイブル 舌苔に対する考え方と取り組みについて』
たびたびの本田先生からの抜粋で恐縮ですが、早い話、舌磨きをすることで、口臭の根本治療はできないと仰っています。
ショッキングすぎて、「巷で言われている舌磨きは何なの!?」って思いますよね?
口臭外来の第一人者の考えでは、本来の口腔内自浄能力が発揮されていれば、必要以上の舌苔が付かないのが普通であり、舌磨きは必要ないということなんです。
正直、私も困りました。口臭の手っ取り早い改善策が、舌苔をとることと思っていたんですが、どうやら、舌磨きは必ずしも舌ケアの一番いい方法ではないということなので。
ちなみに本記事で多分に引用させてもらっている本田先生ですが、口臭治療の第一人者と言われています。
日本口臭学会の常任理事を務めるかたわら、大阪府でご自身の医院も経営されています。
この記事でも参考にさせてもらっている、『Dr.HONDA!口臭バイブル』は口臭にまつわる様々な見解や考え方が、惜しげもなく無料で公開されていますので、一見の価値ありです。
舌のケア方法

では、どういった舌ケアがいい方法なんでしょうか?「菌の温床だって分かってるなら、方法はなんだっていいから取り除きたい!」って思いますよね?
まず、舌苔を物理的に取り除く方法は、あくまで、一時的な口臭の抑制と割り切る必要があります。
根本的な解消方法はあくまで、ストレスが多い人であれば、ストレスを減らす努力をする。アルコールやタバコが原因で舌苔が付く人はそれらを減らすことが大原則となります。
ただ、それだと、現代社会において根本解決は不可能ということになってしまいますので、そこで日々の舌ケアが重要となってくるわけです。
歯ブラシは危険!

歯ブラシでのゴシゴシ舌を磨いている方。
はい。やめてください。それ危険です。
私もはじめは、「要は程度の問題だよね」くらいに考えて、歯磨きの延長として、そのまま歯ブラシで、舌苔をゴシゴシと磨いていたことがあります。
その時は、ベロがヒリヒリするし、変な味がするし、しまいには口臭についても多く指摘されていたように思います。
何より、舌苔を取ろう取ろうとゴシゴシするんですが、全然取れないどころか、余計ひどくなっていました。

似たようことを言う人がチラホラ・・・。
舌がヒビ割れてるのめっちゃイヤだなあ
やたら舌苔出来るし擦ると痛いし酸は染みるし— タルタル (@licky_7b) 2017年10月3日
舌苔すごいの、歯ブラシでこすってるからかもしれぬ。傷ついてさらにひどくなるっぽい
— 田中アーモンドファッジ (@nameko_soup) 2015年10月6日
なぜ危険なの?
ズバリ、舌にある糸状乳頭を傷つけてしまうからです。
舌を磨くと、舌表面は電子顕微鏡レベルでは空襲を受けた都市のようにずたずたになり、それを修復しようとして舌表面粘膜から粘液が浸出し修復作用が行われるので、ネバネバしてきます。
その結果治癒過程でより一層過剰な舌苔がついてくるようになり、唾液はさらに剥離細胞が浮遊するようになり、唾液を取り出してみると悪臭と共に、白濁した沈殿物ができます。
口腔内乾燥を起こすと、唾液の臭気がするようになります。
このように、習慣的に舌を磨く人は、唾液自体が非常に臭くなり、例え歯科的な問題がなくても常に舌は不快な状態になり、しかも、乾燥すると唾液が臭くなります。
出典:医療法人ほんだ歯科『Dr.HONDA!口臭バイブル 舌を磨くことと舌の臭気』
良かれとおもってせっせと舌を磨くことが、気づかぬうちに蟻地獄にはまってしまうように、永遠に終わりのない口臭との闘いに、足を踏み入れてしまう恐れがあるのです。
舌クリーナーを使う
舌を傷をつけないよう、専用のクリーナーが売られています。
力入れすぎて、舌を引っ掻いてしまうのであれば、使用は控えたほうがいいですが、やさしく、舌表面のヌメリを掻き出すくらいの気持ちで使うには、非常にいいものだとおもいます。
糸状乳頭は口の奥の方から、先の方へと向いているので、舌クリーナーで掻く場合にも、奥から先へと1ストロークずつ丁寧にかつ優しく実施してください。

スプーンの裏を使う方法

表面のすくう側ではなく、裏側の球面側を使用します。
裏面に塩を振り、その裏面で舌をそっと撫でます。そうすることで、唾液が分泌がうながされ、大量に唾ができてますので
最後に口をすすげば、かなりスッキリします。ただ、ビックリするくらいオエッとなります。
くれぐれも、粗塩をつかって舌を傷つけたり、スプーンのすくう側で、ガリガリと舌苔を削り取るようなことのないようにしてください。
舌を口の天井に擦る方法
私は、この方法で舌苔が大分すくなくなりました。
もともと、舌苔が気になりだして、歯ブラシやら舌ブラシといろいろ試しましたが、
なんだかんだで、この方法が一番効果が実感できたように思います。
それによく考えたら、他に方法に比べて
- コストがかからない
- いつでもできる
- 舌を傷つけない
- オエッとならない
- 唾液の分泌量が増える
といったメリットがあると感じています。正直、大層な道具を揃えないでも舌苔を減らせるならそれでいい気がします。
天然はちみつで口腔ケア

はちみつには、プロテアーゼという分解酵素が豊富に含まれているため、舌の上の食べカスなどの汚れを分解し、落としやすくしてくれる効果があります。
最近の研究(『Effectiveness of three mouthwashes – Manuka honey, Raw honey, and Chlorhexidine on plaque and gingival scores of 12-15-year-old school children: A randomized controlled field trial.』(2018))でも、蜂蜜ベースのうがい薬は、虫歯・歯垢・歯肉に対して有望な抗菌効果を示したことが確認されています。
なにより、はちみつは甘くておいしいので心理的ハードルも大分低いんじゃないでしょうか?
方法としては、小さじ1杯のはちみつを、舌の上に落とし、全体に行き渡らせるように舌で隅々をゴシゴシしてみてください。
口腔内の汚れを浮かしつつ、落としていく効果が期待できます。
ちなみにはちみつは、論文にもあるような、マヌカハニーや100%の天然はちみつを使用することがやはり望ましいです。
市販されているはちみつは、どの商品に何が入っているのかよくわからないのが正直なところでなので、効果のほどは疑問が残ります。
はちみつケアをした後は、ぬるま湯にコップ一杯(250㏄程度)にティースプーン1/2の塩で塩水をつくり、口の中をすすいで完了です。
口の中を殺菌消毒してくれるので、風邪予防にもなって一石二鳥です。
まとめ

舌苔が、口臭の発生源となっていることは、様々な医学的データからも明らかになっています。
ですが、それを取り除くことが唯一の正解かといわれれば、専門家でも意見の分かれるところではあります。
もちろん、病的な舌苔は取り除くことが必要となってきますが、私たちが悩むのは、とったほうがいいのか、ほっといた方いいのかに迷う、曖昧なレベルだと思うんです。
しかしその曖昧なレベルであれば、あえての舌磨きというのは必要ないのかもしれません。口臭除去というメリットと同時に、口臭を悪化させてしまう可能性も多分にあるからです。正直「優しく舌をケアして」っていわれてもどの程度優しくケアしていいのか私にはわかりません。
それに、舌苔が付きやすい舌のままでは、いつまでたっても、舌苔はなくならないんです。
それであれば、舌苔が付かないように予防する、つまりは、食べカスをなくす、乾燥しないように唾液をよく分泌させるといった、口腔ケアに力点を置くことが重要になるのは一目瞭然です。
ここで、自身の舌ケアをもう一度見直してみてください。間違った認識でケアしていませんか?正しい認識でケアしていくことで、一緒に口臭を改善していきたいですね!
